保育理念、載せているだけになっていませんか?
園のホームページを開くと、たいてい「保育理念」のページがあります。
法人や園それぞれの言葉で、丁寧に、大切な想いが書かれています。
でもそのページ、公開してから見直したことはありますか。
読んだ人に、書いた通りの意味で伝わっているでしょうか。
理念は、読まれても伝わるとは限りません
理念のページは、多くの園がきちんと作っています。
時間をかけて言葉を選び、法人としての想いを込めて公開している園がほとんどだと思います。
ただ、理念というのは抽象的な言葉になりやすいものです。
「愛情」「安心」「のびのび」。
どれも大切な言葉ですが、読む人によって受け取り方が変わります。
書いた側の意図と、読んだ側の解釈がずれる。
これは、決して珍しいことではありません。
採用の場面で、このずれが現れることがあります
私が園長をしていたとき、理念のページだけを読んで応募してきた職員の中に、
「ここに入れば、自分が幸せにしてもらえる」という受け身の期待を持って入職してくる人がいました。
理念には「幸せになれる場所をつくる」という趣旨の言葉がありました。
その言葉自体は、法人の想いとして間違っていません。
でも、そこに込められていたのは「一緒に幸せをつくっていく」という姿勢であって、
「与えてもらう」ことではなかったはずです。
言葉だけを読むと、その違いは伝わりません。
実際の現場は、日々忙しく、余裕のない瞬間もあります。
「思っていたのと違う」というギャップから、早期に離職してしまう職員を、何人も見てきました。
理念は、園の中でも解像度が揃っていないことがあります
もう一つ、気づいたことがあります。
理念の解釈は、実は園の中でも一人ひとり違うことがあるということです。
ホームページを新しく作る、あるいはリニューアルするとき、
理念のページは既存の文章をそのまま載せることが多いと思います。
でも、その理念を「どういう場面で、どう体現しているか」という具体例まで、
園の中で言語化できているかというと、そうとは限りません。
制作を依頼する相手にも、理念の文章だけが渡り、その背景や具体例までは渡っていない。
そうなると、できあがるページも、理念の言葉をきれいに配置しただけのものになりやすくなります。
これは、依頼した園の怠慢でも、作った側の落ち度でもありません。
理念を「伝わる形」にして渡す、という工程自体が、そもそも見落とされやすいのだと思います。
理念文を変える必要はありません
ここまで読んで、「理念を書き直さないといけないのか」と思われたかもしれませんが、そうではありません。
大切なのは、理念の言葉そのものより、
その言葉が日々の保育の中でどう体現されているかを、
具体的なエピソードとして添えることです。
たとえば「愛情」という言葉であれば、それがどんな場面の、どんな関わりを指しているのか。
「のびのび」であれば、実際にはどんなルールの中で、どこまでが自由なのか。
こうした具体例を、職員に向けても、これから応募してくる人に向けても、
そしてホームページを作る相手に向けても、同じように渡しておく。
それだけで、理念への共感が先に生まれ、その上でアクションを起こしてもらえるようになります。
まとめ
理念のページは、多くの園が丁寧に作っています。
でも、公開して終わりになっていないか、一度見直してみる価値はあると思います。
理念そのものを変えるのではなく、そこに具体例を添えること。
それだけで、採用のミスマッチも、ホームページを依頼するときのずれも、防げることがあります。


